予防歯科
Preventive予防歯科とは、「痛くなったから」「歯がぐらぐらしてきたから」など問題が起こってから歯科医院に行くのではなく、症状が出る前に、またはさらなるお口の健康を目指して定期的にかつ積極的に検査やクリーニングを受けることを指します。
むし歯・歯周病の予防は、歯だけではなく、全身の健康にも役立ち、さまざまな病気から患者様を守ります。むし歯や歯周病の原因である歯の表面についたプラーク(歯垢ともよばれ、細菌のフィルム、塊)は、表面にくっつく性質が強く簡単にははがれず、抗菌性の薬も透過させないほど強く、歯みがき等で物理的に取り除くしか方法がありません。効果的にできるだけ取り残しのないようにすることが大切です。 また、取り除いた後は、プラークがつきにくい環境をつくり、そしてそれを持続させることが大切です。
お口の中の健康と
全身疾患の関係
お口の中の健康と全身疾患は密接な関係があります。特に歯周病の原因である歯周病菌は血管の中に侵入すると炎症を起こし、心臓疾患や脳血管疾患、糖尿病など、さまざまな病気を引き起こすことがわかっています。歯周病は感染症の一種であり、口内環境の健康維持は全身の健康にも影響を及ぼします。歯みがきで口腔内の細菌数を減らすことは、むし歯や歯周病を予防するだけでなく、全身疾患にかかるリスクを下げるとともにしっかり噛めることによって認知症予防につながります。楽しい人生を歩むためには、毎日の正しい歯みがきがとても大切です。
セルフケアと
プロフェッショナル
ケア
口腔ケアには、自分で毎日行うセルフケアと、歯科医師や歯科衛生士などの専門家が行うプロフェッショナルケア(専門的口腔ケア)があります。
セルフケア(ご自宅で行う)
- 適切な歯ブラシや歯磨剤を使い、毎食後にすみずみまで綺麗に磨く。
- 歯間ブラシやフロスなどを使い、プラークを取り除いて歯石の付着予防を行う。
- 摂食・嚥下がスムーズになるように、口腔体操、マッサージなどで口腔機能を維持する。
- 栄養バランスのよい食事をよく噛んで食べる。
プロフェッショナルケア
(歯科医院で行う)
- まず歯周検査を行います。これは患者様の歯を支えている歯周組織といわれる部分の健康状態を調べる検査です。歯周ポケットの測定、歯肉からの出血、歯の動揺などを調べます。同時にプラークの付着状況や口の粘膜、舌なども観察します。その上でお口の状況や全身状態に合った口腔ケアの指導やアドバイスを行います。
- 歯石の除去など、自分ではできない専門的なケアを行います。
- 口腔機能の維持や回復のための指導やケアを行います。
- 患者様にあった口腔ケア用品などのアドバイスや使い方を指導します。
- 食事へのアドバイスを行います。
自分に合った
歯ブラシ・歯磨剤を
選ぶポイント
毎日使う歯ブラシや歯磨剤を「なんとなく」で選んでいませんか?お口の中の状態(口内環境)は「むし歯になりやすい」「歯周病になりやすい」など、ひとそれぞれです。まず、あなたのお口の中の状態を正しく把握して、それに合った歯ブラシや歯磨剤を選んで毎日の口腔ケアを行うことをおすすめしています。
- むし歯リスクが高いのか?
- 歯周病のリスクが高いのか?
- 汚れが残りやすいのか?
- 着色が付きやすいのか?
- 唾液の分泌量が少ないのか?
など、患者様それぞれのリスクに適した歯ブラシや歯磨剤をご提案します。
お子様のむし歯予防
Preventing cavities in childrenシーラント
むし歯になりやすい奥歯の溝を樹脂(むし歯を削ったとき詰めるものと同類)で埋めてしまう予防法です。歯を削らないため、はがれることもありますが、特にむし歯になりやすい生えて間もない奥歯の永久歯に有効です。しかし、歯と歯の間のむし歯予防にはなりません。シーラントをしたからといって、歯みがきをきちんとしないのは逆効果になってしまいます。
フッ素塗布
「フッ素」は自然界にもいたるところにある物質で、自然元素のひとつです。海水の中にも含まれ、毎日の食事を通して私たちのカラダに摂取されている必須栄養素のひとつです。歯質を強化する効力が最も高いことから、世界各国でむし歯予防に利用されています。ただしフッ素の効果は歯の表面に限定されるうえ、少しずつ消失するので定期的に繰り返し塗布する必要があります。乳歯や生えたばかりの永久歯に非常に効果的です。
歯科で使用されるフッ化物には医療機関用のものと家庭用のものがあります。その効果と安全性は科学的根拠に裏付けられています。高濃度のフッ化物は歯を強くし、低濃度のフッ化物はむし歯になりかかったところを再石灰化によって修復します。複数の方法を組み合わせて使用しても安全性には問題がありません。年齢に応じて組み合わせて行うことをおすすめします。
医療機関で塗布
高濃度のフッ化物を歯科医師の管理下で年3~4回(3~4ヵ月ごとに)塗布する方法です。小さなお子さんでも塗布することが可能です。塗布後、30分間はうがいができません。当院では酸味がさわやかでリンゴの香りのフッ化物ジェルで不快感を軽減しています。予防なので保険適応外です。
(自費治療費:¥1,000 税込)
家庭で塗布
低濃度のフッ化物を毎日使用することはむし歯予防に効果が高いとされています。家庭ではフッ化物配合歯磨剤を使用し、年齢やむし歯になりやすいなどのリスクに合わせてフッ化物配合ジェル、フッ化物洗口液もおすすめしています。
いつまでも
楽しい人生を
過ごすために
歯やお口の健康のために最も重要なのは「毎日のセルフケア」です。自分にぴったりなセルフケア製品で、毎日のケアをより充実したものにしませんか?小さい時から通って頂くことで、むし歯や歯周病にならないお口の環境を作ることが大切です。一度治療した歯も再治療がないように、メンテナンスを行うことが重要となります。
いつまでも美味しく食事をして人生を楽しむために、小さなお子様から大人の方まで歯医者は痛くなってから行くものではなく、痛くならないために行くものという予防の考え方を伝えていきたいと思います。